全日本剣道連盟が平成十二年四月から施行した「居合道称号・段位審査実施要領」。この要領の中で全日本剣道連盟は全日本剣道連盟居合(解説)の審判・審査上の着眼点のうち、特に留意し、当該段位相当の実力があるか否かを審査する項目を示した。
では、居合道審査員経験者は具体的にどこを見て、なにを求めているのか。
十五人の居合道範士にその留意すべき点に基づき、各人が重視しているポイントと今後受審者に心がけてほしい点などを詳しく解説いただいた一冊。
(月刊「剣道時代」平成二十年七月号から平成二十一年十二月号まで連載された「居合道審査員の目」から抜粋)
編/「剣道時代」編集部
2009年12月初版 発行/体育とスポーツ出版社
<目次>
上野貞紀
抜きつけ、切りつけが居合の生命
全身全霊を込めて演武しているか
岸本千尋
抜きつけまでの気攻めが重要
敵の動きが浮かび上がる間を取ること
松峯達男
右手小指と薬指の遣い方が大切
しっかりと柄を握って抜いているか
武田清房
仮想敵を意識して抜くこと
生命を吹き込んで演武しているか
山﨑正博
型(かたち)から生きた形(かた)の修得が大切
体の中心軸をぶらさないように抜くこと
小林忠雄
足腰を使ったスムーズな動きを体得せよ
敵の動静に即座に対応して抜いているか
安永 毅
腰・足・手を一体にして抜くこと
演武全体が一連の流れになっているか
山崎 誉
仮想敵への意識は所作動作に表われる
作法をおろそかにしてはいけない
河口俊彦
技術は演武であり演舞ではない
天井を掃くように切り下ろしているか
迫野康雄
独自の呼吸、間合、残心を身につけよ
強靭な個性が光れば、目にとまる
小倉 昇
居合は立っても座っても歩いても居合腰
指の指紋で握れば、切り下ろしが冴える
佐伯孝晴
常に敵の状況を把握して抜くこと
臨場感のある居合が求められる
石堂倭文
”二く、三け”ができているか
「守」を忠実に身につけよ
渡辺秀雄
正しい稽古の積み重ねが表われる
物打ちに体重を乗せて切っているか
三谷昭雄
抜きつけの妙は鞘離れの一瞬にあり
剣道形の稽古で気当たり、理合を覚えよ