寒い冬を乗り越えて、ようやく訪れた春を満喫するように梅が咲き乱れています。
武州伊藤派には典型的な草木図を肉彫地透(にくぼりじすかし)で作られた梅の鍔です。
本歌となる鍔の作者は「正親(まさちか)」。美作国津山藩の抱工だった正利の一族で、西暦1774年を表す年紀のある鍔を残している良工のものです。正親自身は江戸浅草堀田原に住んでいました。
肉彫地透(にくぼりじすかし)は透かしの文様が立体的(肉彫)になっているもののこと。この手法は室町時代には正阿弥派などで使われており、江戸時代に入ってから正阿弥派が全国に移り住んだことで、全国各地でみられるようになったと言われています。
重さは軽め、大きさはやや小ぶりですので、軽めや短めの御刀におすすめの一枚です。